ライブコマースの台本作りと進行の流れ
会社やお店のライブコマースを任されたとき、何をどんな順番で話せばよいか見当がつかず、足が止まってしまうことがあります。アナウンサーのように原稿を一言一句読み上げようとすると画面越しの人肌感が薄れてしまいますし、反対にノープランで始めると沈黙や脱線が怖くなります。現場で頼りになる台本は、セリフを並べた原稿ではなく、時間の配分とやるべき動作を並べた「進行表」です。
セリフを一言一句書かないほうがよい理由
テレビの通販番組のようにきっちり作り込まれた番組と違い、ライブコマースは画面の向こうにいる視聴者とのやりとりで成立します。事前に用意したセリフをそのまま読み上げようとすると、視線が手元の原稿に落ちてしまい、せっかく届いたコメントを見落としがちになります。
原稿通りに話すことへ意識が向きすぎると、途中で視聴者から「裏側はどうなっていますか」「持った感じは重いですか」と質問されても、テンポよく返せなくなります。視聴者がライブ配信を見る魅力は、気になる点をその場で確かめられる点にあります。決まった文章を暗記して話すよりも、聞かれたことにその場で答える姿勢のほうが、商品の魅力も自然に伝わります。
台本に書くべきなのは、話す言葉そのものではなく「伝えるべき要点」と「見せる動作」です。言わなければならない情報だけを手元に控え、言葉遣いは普段の接客と同じように話すほうが、見ている側もリラックスして参加できます。
30分から45分で組み立てる全体の時間割
初めての配信であれば、全体の長さを30分から45分程度に設定するのが適しています。60分を超えると配信する側の集中力が途切れやすく、見ている側も途中で抜けやすくなります。全体の構成は「冒頭」「本編」「終盤」の3つに区切ると進行がすっきりします。
最初の3分から5分は、あいさつと視聴状況の確認に充てます。開始直後はまだ人が集まりきっていないため、いきなり本題に入らずに「音声や映像は届いていますか」「こんばんは」と呼びかけながら、今日紹介する商品を手短に伝えます。この間にスマートフォンの画面で音声の聞こえ具合を確かめておくと安心です。
続く本編は、紹介する商品ごとに区切って進めます。1つの商品につき5分から8分を目安にし、商品の特徴、手元で見せる実演、コメントへの回答を一連の流れとして扱います。紹介する商品が3点あるなら、この流れを3回繰り返す形です。商品ごとに話が完結していれば、途中から見始めた人も迷わず入ってこられます。
最後の5分ほどで、購入手順の案内、次回の配信予定、フォローのお願いを伝えて配信を終えます。時間が余ったからといって無理に引き延ばさず、決めた時間できちんと終わらせるほうが次回も見に来てもらいやすくなります。
手元の進行シートに書き込んでおく項目
台本は、バインダーに挟んだ紙1枚か、タブレット1画面に収まる程度にまとめます。文字がびっしり詰まっていると配信中にどこを読んでいるか見失うため、要点だけを箇条書きにしておきます。手元に置いておく進行シートには、以下の項目を書いておくと迷いません。
- 開始からの経過時間の目安(5分、15分、25分など区切りになる時間)
- その時間帯で紹介する商品の名前と案内したい特徴(箇条書きで2〜3点)
- カメラに向かって見せる手元の動作(箱を開ける、裏面を近づける、実際に着てみるなど)
- 視聴者に投げかける質問(「どちらの色が好きですか」「普段どんな場面で使いますか」など)
- 固定コメントのピン留めや購入リンクの切り替えといった裏方の作業指示
進行シートを机の上や三脚の近く、目線の少し下あたりに貼っておけば、コメント返答で話が横道にそれても、パッと目を落とすだけで元の流れに戻れます。
コメントを拾いながらテンポよく進めるコツ
配信中のコメントは、すべてを順番通りに読み上げる必要はありません。あいさつには軽くお礼を返し、商品の素材感やサイズ感、使い方に関する質問を優先して拾っていきます。
質問を取り上げるときは、「〇〇さん、重さについてのご質問ですね。ありがとうございます」と、投稿者の名前を添えて口に出すのが親切です。名前を呼ばれると見ている側は参加している実感が湧き、コメント欄も活発になります。言葉で説明するだけでなく、「実際に片手で持ってみますね」と動いて見せると、画面に動きが出て視聴者を飽きさせません。
コメントへの返答で時間が押してきたら、無理に途中で話を打ち切るのではなく、「〇〇さん、ご質問ありがとうございました。サイズのお話が出たところで、次のアイテムの紹介に移りますね」と、質問を次の話題への橋渡しにします。コメントをきっかけにして次のステップへ進めば、不自然さを感じさせずに本筋へ復帰できます。
また、配信を1人きりで抱え込まず、可能であれば操作を担当する人と2人体制で臨むと負担が減ります。1人がカメラの前で話し、もう1人がコメント欄を見ながら「サイズについての質問が来ています」と手書きの紙を出したり、リンクを案内したりする役割分担ができると、進行役は話すことと商品を見せることに集中できます。
まずは紙1枚の骨組みを書いて声に出してみる
ライブコマースの台本作りは、凝った原稿を何ページも書き上げることではありません。まずはコピー用紙を1枚用意し、開始5分、本編20分、終わり5分といった大まかな時間の枠を線で区切ってみてください。そこに紹介したい商品の特徴を2つか3つ書き込むだけで、立派な進行表になります。
骨組みができたら、スマートフォンを三脚にセットし、リングライトとマイクをつないで、3分間だけでも声に出して模擬配信をしてみます。カメラに向かって身体を動かしてみると、「商品を近づけるとピントが合わない」「台本の文字が小さくて離れた位置から読めない」といった点に本番前に気づけます。
最初から完璧な進行を目指す必要はありません。一度やってみて「時間が足りなかった」「この説明はもっと手短でよかった」と感じた部分を、次回の紙1枚に反映させていけば十分です。まずは身の回りにある商品を1つ手に取り、カメラの前で特徴を声に出してみることから始めてみてください。
株式会社パグ党では、自社でWebメディアやSNS、ライブコマースのチャンネルをつくって運営してきた経験をもとに、会社やお店の情報発信の相談に乗る「情報発信顧問」を行っています。台本の組み立て方や配信の進め方で迷ったときは、いつでも気軽にご相談ください。